昨日、20年近くお付き合いのある取引先の社長に、久しぶりに顔を出した。
直近で言えば、昨年に電話機を納品させてもらってから、メールもLINEもご無沙汰。
一回りほど年上の、ずっと背中を見せてくれてきたオーナーだ。
玄関を入って第一声。
「久しぶりやなぁ。元気しとったか。俺はお前のこと、友達やと思ってるのに。」
正直、衝撃だった。
長いお付き合いだとは思っていたけれど、そこまでの温度で見てもらえているなんて、想像していなかった。
心配して、気にかけて、待ってくれていた——その人としての厚みに触れて、顔を見た瞬間、情けないけど泣いてしまった。
この日、教えていただいた。
「お客さん友達」というカテゴリーを自分の中に作ろう。
“お客さん”と“友達”は違う。
僕はずっと「お客さんだから」と一線を引いていた気がする。
でも相手にとって僕は「お客さん友達」で、かわいがって、助けたいと思ってくださっていた。
そこに甘えず、しかし距離を恐れず、礼を尽くしながら近くにいる。その在り方を、きちんと形にしたい。
思い返せば、別の現場で聞いた言葉がある。
「人間的に横着をしたらいかん。」
雑な応対ひとつで、人は簡単に傷つく。
逆に、丁寧な一言が、長いご縁をつくる。
“横着しない”は、技術より先にある仕事の基本だと、あらためて胸に刻んだ。
僕の好きな言葉は勇往邁進。
その社長の好きな言葉は日進月歩。
歩幅は違っても、立ち止まらず前に進むという点では同じだ。
小さく進み続ける「日進月歩」と、迷わず踏み出す「勇往邁進」。
この二つを両手に持って、僕はこれからも恩は仕事で返す。
僕なりの「お客さん友達」の約束
- 連絡が空いたら、言い訳よりまず連絡(極力、顔を出す)。
- 押し売りはしない。必要なことを、必要なタイミングで。
- 良い話だけでなく、都合の悪いことほど先に伝える。
- いただいた恩は、成果で返す。
- 距離は近く、けれど礼は崩さない。
こういう方とお付き合いを続けること。
こういうお客様を支え続けること。
それが、僕のやるべき仕事だと、昨日改めてわかった。
会いに行く。記録する。丁寧に応える。
人としての温度を携えたまま、仕事で返していこう。
